■なぜ太る?
中高年になると、人はなぜ太るのでしょうか。
そのかぎを握るのが基礎代謝です。
体温維持という生きるために最低限必要な代謝です。
車で言えばアイドリング状態に当たります。
基礎代謝は脂肪の分解力を反映しています。
これが中年から急に落ち、体に脂肪が沈着すると、肥満につながります。
一生で骨量が一番多い時期は30~35歳くらいだと言われます。
その後はどんな人でも減る一方になります。
早く減る人と比較的ゆっくり減る人ではかなり差が出てきます。
筋力のある人は骨の質も良いといいます。
年を取って筋力に見合う体重になっていないと膝を悪くし、転倒もしやすくなります。
また、太るとインスリンの働きが不十分になって、血糖値が上がりやすくなるといいます。
■運動を日常化
肥満の防止には基礎代謝を落とさないようにすることが必要です。
そのためには、運動を日常化することが最も有効です。
理由は、基礎代謝を支える一番重要な組織が筋肉だからです。
筋肉は安静状態でも多量の熱を作っています。
筋肉の最大のエネルギー源は血中を流れる脂肪で、その分解量は全身の70%にのぼります。
筋肉は脂肪を分解する最大の内臓なのです。
たんぱく質の塊である筋肉の量は中高生時代に最も多く、その後は徐々に低下、厄年の42歳ごろを境に一気に下がります。
たんぱく質を作る力が弱る老化現象のためです。
そこで筋肉の増量につながる運動や、水泳、ジョギングのような活性化のための運動が健康づくりに役立ちます。
■足の筋肉を鍛える
とりわけおすすめなのが、足の筋力アップにつながるトレーニングです。
全身の筋肉のうち、下半身が占める割合は60~70%にのぼります。
例えば太ももにある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」は人間の中で最も大きい筋肉です。
大腿四頭筋は、立ち上がる際や歩行時に使います。
とても大事な筋肉ですが、放っておくと衰えやすいです。
弱くなると、関節に負荷がかかり軟骨の摩耗が進んでしまいます。
ロコモや寝たきりを予防するためにも、大腿四頭筋をはじめとする足の筋力をキープすることが重要です。
<おすすめの「足トレ」>
■足を前後に揺らす
足の筋力アップにおすすめのトレーニングの一つが、「足を前後に揺らす」運動です。
片足で立ち、浮いたほうの足を前後に揺らします。
足の根元の股関節から大きく動かすのがコツです。
座りっぱなしの在宅勤務の方にもメリットが大きいです。
■腰を持ち上げて腸運動
もう一つのおすすめが、「腰を持ち上げて腸運動」です。
足やお尻、体幹の力で骨盤を持ち上げて、宙に浮かせます。
その状態で、お腹を膨らませ、へこませる腸運動を行います。
■ウォーキング
もちろんウォーキングもおすすめです。
歩くことは人間の基本です。
歩行能力が日常の活動性を大きく左右します。
歩けなくなると寝たきりになる恐れが出てきます。
ウォーキングは運動の強さを自分で自由に調節できる、いつでもどこでも、一人でも仲間と一緒でもできる、とさまざまな利点があります。
ウォーキングは、脳に酸素を効果的に供給できる方法でもあります。
脳は人体の中でも最も多く酸素を消費します。
第二の心臓と言われる脚を動かすことで心臓の動きを助け、脳への血液循環がスムーズになります。
また、正しい歩き方でしっかりと大地を蹴ることによって、脳を刺激します。
■みんなの願い
超高齢社会を生きる私たちにとって、若さと健康を保つことは、大きな願いです。
それにはバランスのとれた食事と、ほどよい運動が大切です。